2015.04.26更新

火曜会の大御所金子先生のブログです(http://mypixy.exblog.jp/23932334/)。

長期経過に裏付けられた独自の哲学が示唆に富んでいて、毎回毎回ため息がでるほど素晴らしいです。

 
 
『この時点では誰が担当しても完全なリカバリーはほぼ不可能です。どうしてもこの1歩か2歩手前での先を見た処置が必要だったはずなのに、高齢の患者さんに悲劇は多発しているようです。』
 
 
日本にいたころ僕も数多くの「すれ違い咬合症例」と戦ってきましたが、上記の金子先生のお言葉通り、ふつうの義歯ではどうにもならないケースがほとんどでした。なんとか患者さんにお使いいただけるようなものは作れるものの、長期予後は全く期待できません。条件が悪い場合、保険の義歯は半年ほどでひびが入ります。そこから修理修理で2〜3年もたせてまた新製というパターンがカルテを呼んでいて非常に多かったですし、自分が作ったものも同じ経過をたどるでしょう。
 
「唯一の解決策は抜歯」なのですが、「歯を抜くのは悪い歯医者」というマスコミの報道と「8020運動」も相まって、ご高齢でただでさえ少なくなった本数の歯を大事にしたいと考えている患者さんから抜歯の承諾がいただけることは稀でした。
 
金子先生はすれ違いに対する解決策として「コーヌスクローネ」を選択し、インプラントから完全に距離をとっておられますが、数本のインプラントで義歯の遊離端化を解消する「Implant assisted removable partial denture」がすれ違いと戦う上での大きな武器になるのではと思い、アメリカにいる間にこの手の症例を積極的に手がけていきたいと思っています。インプラント補綴を豊富に経験できることがアメリカで学ぶことの強みです。日本ではインプラントが随分叩かれているようですが、きちんとした診断のもとに行えば、絶大な効果を発揮してくれます。
 
「部分床義歯は数ある歯科医療の分野の中でも最も刺激的かつ興味深い分野のひとつである」とは、空軍基地補綴科ディレクター兼スチュアートの教科書の現著者でもあるフェニックス先生のお言葉です。軟組織(歯茎)と硬組織(歯)、そして今では人工物(インプラント)までが混在する複雑怪奇な世界でなにを道しるべとして歩いて行くか、義歯の世界は果てしなく広がっているようです。
 
ともあれ、「すれ違い咬合」のような悲劇的な状態に陥らないためにも、信頼できるホームデンティストを見つけ、普段からきちんと歯医者に通い、なるべく歯を失わないための努力をするのが何より大事なのは言うまでもありません。全ては大臼歯を1本失うところから始まるからです。
 

投稿者: スギタ歯科

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